ボーイング787初号機を展示する中部国際空港の航空複合施設「FLIGHT OF DREAMS」

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先週10月12日(金)に、中部国際空港(セントレア)にオープンした、航空複合施設「FLIGHT OF DREAMS」に行くことができので早速GASKET的な視点でレポートしたい。

この施設はセントレアのターミナルビルから連絡通路を通って5分ほどの空港敷地内に新たに作られたもの。この施設は航空博物館的なFLIGHT PARK(大人1200円!)と、ボーイングの本社があるシアトルにちなんだレストラン&ショッピングエリアであるSEATTLE TERRACE(無料)で構成されている。

なぜセントレアに787初号機が来たのか。それは愛知県と岐阜県エリアで、炭素繊維強化プラスチックの35%以上を製造しており、定期的に部品輸送のための巨大な専用貨物機であるDreamlifterが飛来するということで、中部地域と787は縁が深いのである。

入場券は前日までにオンライン購入しておけばQRコードで並ぶこと無く入場できるが、筆者はこれに気がついたらもう当日になっていたので、現地窓口に並んで購入した。会場の10時直後に到着したのだが、この時点でチケット購入までに45分を要した。オープン3日目ということもあり、担当者が慣れていないのか、販売システムが悪いのかよく理由がわからないが、1200円の購入に1分以上かかる。支払いにはICカード系の電子マネーも使えるので、直接ゲートで駅の改札のようにタッチで入場するようにすればいいのだが、そんなことは出来ない。こういう混雑は一過性のものとは思われるが、事前購入を強くお勧めする。

さして演出もなにもないエントランスを超えると、いきなりボーイング787の初号機が目の前に現れる。787はブリッジから直接乗り込むことが多いと思うので、機体を見上げるのは圧巻である。初号機というのは正確には飛行初号機で、実際の空を初めて飛んだ787の機体である。この機体ZA001は商用飛行は行っておらず、開発時のテスト飛行に用いられたものである。そのため座席はもちろん、コックピット以外には貨物室などの設備はない。

 

この初号機にはロールスロイス社のエンジンが搭載されている。同型機にはGE社のエンジンも選択可能である。コックピットを見るためにも長い行列で、結局1時間ちょっとを要した。それだけ待ってタラップを上って機内に入ると、なんとガラスの壁に阻まれて、実機ではあるが実際のコックピットの雰囲気がまったく伝わらない。これなら実際の搭乗時に、コックピットのドアの隙間から何度も覗き込んだときのほうがはるかによかった。並ぶこと無く見られる場合以外にはおすすめできない。見終えた方々も「えー?ガラス?」って言っている人が多かった。ガラス越しであることを書いているメディアがないのは不思議である。

ガラス越しに見るボーイング787のコックピット

 

さて、FLIGHT OF DREAMSのメインコンテンツはチーム・ラボ制作の「フライ ウィズ 787 ドリームライナー」である。これはチームラボお得意のプロジェクションコンテンツだ。まずこのFLIGHT OF DREAMSは、格納庫のような設備になっていて、ちょうど787がすっぽり入る空間である。逆に言うとこの施設はほぼそれだけの空間で、SEATTLE TERRACEはそれに付随した空間だ。

チームラボの今回のコンテンツは、50台は優に超えているのではないかと思われるプロジェクターで投影されており、内容はいつものチーム・ラボテイストである。この日の投影は毎時15分と45分の2回(いつもそうかは不明)で、現在は2種類のコンテンツで運用されていた。なお、このコンテンツは正しくいうとプロジェクションマッピングではなく、プロジェクションである。

それなりに大きな空間での投影のために、視聴ポイントを選ばないと全体像が全く把握できない。4階部分にベストな視聴ポイントがあるのだが、そこは事前予約制だ。筆者は先に予約をとったのだが、コックピットの60分の行列に並んでいたために、その場所から見ることは叶わなかった。下の写真はフードコート側から撮影したものだ。なおここからであれば入場料1200円を払うことなく、食事をしながら見ることができる。

コンテンツ内容は起承転結はなく、特に音の演出も単調で、音量も小さいのでインパクトに欠ける。空間があまりにも大きいので、もっと全体を見渡せる視聴ポイントから見るべきなのだろうと思う。787は中型機と言っても全長56.7メートル、全幅60.1メートル、全高16.9メートルなので、それに対して施設サイズが小さいので確保ができていない。雰囲気はこちらの公式サイトの写真をご覧いただきたいが、これを体験するのは当日現地にて予約必須で、混雑度合いによっては数時間先になる可能性がありそうだ。

3Fのフードコートエリアから

 

こちらは「ボーイングファクトリー」というコンテンツ。壁面全部と床面の一部を利用して、組み立て工場を再現するもの。説明は壁面部分と床面部分が連動しているのだが、写真のように表現されるので、空間における自分の位置がどこだかわからず、壁面のサイズ感に対して床面のサイズ感も異なるために混乱する。ここでの投影にはEPSONのEB-L1405U(8000ルーメン)が使用されていた。

ボーイングファクトリー

 

こちらは「エアラインスタジオ」。自分で書いた絵がプロジェクションマッピングされて、CAの業務を疑似体験する子供向けのコンテンツ。下の写真の左の黒いものは柱である。右下の部分の女の子を投影されているのを見ると分かるが、エッジ部分の処理が補正されていないので、場所によっては非常に奇妙な動き方になってしまう。もちろん子どもたちは楽しそうだが、筆者的に見ると見るに耐えない。このレベルでした表現出来ないのであれば、プロジェクションマッピングではない別の表現方法の方がもっと適切ではないかと思う。企画や制作に関してのクレジットはないが、はじめにプロジェクションマッピングありきで企画が進行している気がしてならない。FIRST AIRLINEのように、リアルなモノやコトと組み合わせる方向性のほうが適切だと感じた。

エアラインスタジオ

 

こちらは専用アプリ「飛行機図鑑」での学習コンテンツ。飛行機のさまざまなパーツをアプリを使って収集するもの。要するにスタンプラリーだ。かなり正確な館内位置情報に従って、機体の周りを動き回りながら写真を撮ってアップロードする。全部で63のパーツがあり、各パーツに関する図鑑的なコンテンツが用意されている。

これも実際に体験してみると、いまひとつピンとこない。例えばポケモンのスタンプラリーや、Pokemon GOのようにもともとがバーチャルなもののスタンプラリーは画面内で完結していいと思うのだが、リアルなものを前にしてこれをやっても全く実感が沸かない。無理にアプリ化している感が否めない。現場でもやっている人は多くなく、ホンモノの機体を前にして小さなスマホを覗き込むというのは違和感がある。

キャプチャーできないが、現在位置が赤い丸で表示され、この館内位置情報が驚くほど正確である。

 

図鑑的なコンテンツ

 

SEATTLE TERRACEに行ってみる。こちらはシアトルの観光案内。普通にビデオが流れている。

シアトルの観光案内ビデオ

 

シアトルの様々なデータをモーショングラフィックスで説明

 

こちらはある飲食店の店頭にあったプロペラが回転する3Dディスプレイ。残念なのはなんと表面にプラスチックのカバーが付けてあった。安全上それが必要であるというならそこまでして使わないほうがいい。

 

他には本物のフライトシミュレーターである「LUXURY FLIGHT」の2号店「セントレア店」がある。ただしこれは入場料とは別に15分で3240円から。同じもの(787はセントレアのみ)は羽田空港近くにもある。事前予約は必須。

他に「奏でる!紙ヒコーキ場」は自分で作った紙飛行機を飛ばすと、センサーが反応して音が出るコンテンツ、「お絵かきヒコーキ」は自分で書いたヒコーキをスキャナーで取り込んで、タブレットで操縦できる。

全体としての感想は、前述の通り、せっかく本物の787を目の前にしてこういう事になってしまうのはもったいない。子供連れでお父さんがじっくり説明してあげればそれなりに楽しめるのではないだろうか。