文字さえ読めないインバウンドなロシアで、日本より快適なスマホ完結サービスを受けられた事実

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先日のウラジオストク出張では、帰路の市内から空港までの移動にはアエロエクスプレスを利用した。1日5往復しか運行されていない、日本との飛行機のフライトに全く接続していないなど完璧とは言えないが、50分400円ちょっとで空港まで行くことができる。このときに体験したスマホで完結した一連のサービスの話をしておきたい。

まず、アエロエクスプレスのチケットはオンラインでは購入できないのは不便である。これは日本人だからではなく、そもそも出来ない。理由は驚くほど空いているからだとあとから理解した。ちなみにシベリア鉄道は普通にオンラインで購入できる。

チケットがオンラインでは買えないので、購入は駅の窓口か券売機で行う。タッチパネルが付いた券売機はロシア語と英語の二ヶ国語対応だ。クレジットカードが使えるはずだが、筆者の場合はどのカードも認証されなかった。ロシアではこういうことは比較的頻発する。料金は230ルーブルだが、100ルーブル以下の小額紙幣しか使えない。釣り銭は10ルーブル硬貨で出てくる。

手続きの途中でメールアドレスまたは携帯電話番号を求められるので、メールアドレスを入力した。支払いが完了すると、QRコードが印刷されたペラペラの感熱紙にプリントされたレシートが出てくる。これがQRコード乗車券を兼ねている。

 

するとすぐに、同じレシートとQRコードがメールでも届いた。よく出来たことに、このメールにはGoogle Mapへのリンクが貼られていて、ワンクリックで現在地からウラジオストク駅までの行き方が表示される。徒歩圏内であれば歩くルートが、バスを使う場合はバス停や路線番号も表示されるので迷うことがない。機能としてはGoogleの機能であるが、この連携は旅先ではものすごく便利だ。たかがリンクであるが、これはなかなかありそうでないサービスである。

さらにメールにはクーポンへのリンクがあり、48種類のサービスで割引が受けられる。ジャンルは小売店、飲食店、交通機関、花屋など多岐にわたる。例えばS7航空の3%割引クーポンを選んで手続きを進めてみた例である。

メールで届いた領収書とチケット

 

48種類ものクーポン

 

S7航空のクーポンの概要説明

 

S7航空のサイトへログイン

 

スマートフォンだけですべてが完結できるユーザー体験

予約→購入→発券→ナビゲーション→クーポン→乗車というプロセスがすべてスマホだけで完結している。これは非常に良く出来ている。日本の鉄道乗車券で、アエロエクスプレスのようなスムーズなユーザー体験はおそらく存在していない。

日本の新幹線の場合だと、
予約と購入はスマホ、PCで可能だが登録が必要、あるいは駅の券売機で行う。発券と乗車は駅の券売機で紙の乗車券を発券、または専用のICカードまたはモバイルSuicaも利用可能だが事前に登録が必要。駅までのナビはなし。クーポンの提供もなしである。2019年度末からは手持ちの交通ICカードでも新幹線に乗れるようになるようだが、これも事前の登録が必要だ。

私たちは日本のEX-ICやモバイルSuica特急券を便利なものだと思いこんでいる。しかし、ウラジオストクのアエロエクスプレスの便利さと手軽さ、そしておそらく劇的に安いシステム開発や運用コストを考えて見るべきだ。ICカードは大混雑する都会のラッシュ時には有効だろうが、これもあっという間にグローバル視点で見ればモバイル決済系サービスに抜き去られるに違いない。

JR東日本のえきねっとにしてもスマホだけでは完結しないし、キャッシュレスもたいていどこかでキャッシュが絡んでいたりする。しかもどれも外国人にとっては使うのが超絶難しい。筆者はウラジオストクではキリル文字さえ読めないインバウンドである。そのインバウンドかつストレンジャーが、日本よりもスマホだけで快適なサービスを受けられた、というの事実は一体どういうことか。

筆者は日本のこうしたモバイルサービスがあっという間に世界に遅れを取ったのは、交通系ICカードが原因だと考えている。これはあくまでも結果論であり、技術の進歩のタイミングとめぐり合わせである。すべてがスマホだけで完結できるサービス基盤と、それに基づいたユーザー体験には最終的には勝てない。

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