理解度を深めるためのデジタルサイネージたち

Digital Signage /

スマートフォンやタブレット、デジタルサイネージの普及によって、映像コンテンツは場所を選ばなくなり、一昔よりももっと身近なものになった。広告としての映像がどこでも流せるようになったという利点もあるが、映像は更に理解度を深める事の手助けになるという点も見逃せない。文字だけで伝えようとすると難しい事も、挿絵が入る事でわかりやすくなり、さらに映像化するともっとわかりやすくなるという例がいくつもある。

博物館、地図、取扱説明書

例えば、上野にある国立科学博物館。2015年に地球館をリニューアルオープンしたことを機に、デジタルコンテンツが多く採用されている。1階にある恐竜の化石を囲んだ大スクリーンに生命の歴史の映像が流れているものも大変見応えがあるが、映像化によって理解度が深まる事例は地震発生のメカニズムの映像だろう。円形のスクリーンに地球が投影されており、地震が発生するとどの地域にどのような影響があるのかがわかりやすく映像化されている。これは文字や絵だけではなかなか難しかったことで理解の補助となる。

また、名古屋駅にある地下街「エスカ」の地図は、行きたいお店をタップすると現在地からの道順を矢印で案内してくれる。地図は見てすぐに道順がわかる類いのものではあるが、改めて道順が視覚化されると理解度が上がり、より脳にインプットされるような気分になる。実際に向かっているときも、なんとなく矢印が頭の中に描かれるようになるのも映像の利点だろう。

 

次に取り扱い説明書。UIの研究に余念が無い任天堂が発売したNintendo Switchのソフト「NINTENDO LABO」。TVゲームなのに段ボールを組み立てて遊ぶことで話題となったが、この段ボールを組み立てる作業の説明が映像になっており、誰でも組み立てられるようになっている。回転やズームもできるので、デジタルコンテンツの教科書のような使い方ではないだろうか。

透過ディスプレイの可能性

このように、デジタルコンテンツは思考の補助をするのにうってつけである。もっと踏み込んだ様々な使い方が出来ないだろうか。あくまで個人的にではあるが、透過ディスプレイは更なる見せ方ができるのではと思っている。

例えば展示物の補助的映像の投影だ。2017年に国立科学博物館の特別展で開催された深海展は、前回よりもパワーアップしてより映像コンテンツに力を入れていた。深海魚自体はホルマリン漬けで真っ白なため、ただ展示するととても味気ない物になるが、実際に深海で動いている様子を映像で流すだけで「こんな動き方をするのか」と理解度が深まった印象だ。その映像を透過ディスプレイで、実際の展示物に重ねるように、マッピングするように見せるだけで大分印象が変わってくるのではないか。恐竜の化石を透過ディスプレイでケーシングをして、肉付けをするのも良いかもしれない。

観光バスやフェリーなど、ガイドさんの説明を聞きながら外の景色を見ている際に、ガラスに説明が浮かび上がっても面白いかもしれない。間違いなくコストはかかってしまうが、スマホでアプリをダウンロードさせて、スマホ上にARで浮かばせることよりは利用率は高いように思う。

もちろん透過ディスプレイには課題は沢山ある。重さ、耐久性、電力消費、透過率、コスト高などなど。もっと簡単に実用レベルになれば、様々な分野で表現の幅広狩り、更なる思考の手助けとなるだろう。