トヨタとソフトバンクが描く近未来ビジョンと経営者の志

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昨日10月4日、トヨタとソフトバンクが新しい時代のモビリティを創り出すことで業務提携を発表した。これが意味することは、生活者としても、ビジネスにおいても、計り知れない可能性を秘めた領域への挑戦であり、新しい時代を切り開こうとする2人の経営者のビジョンと志である。

順序立てて考えてみたい。
(1)デジタル技術
(2)インターネット
(3)人や物は自分では動けない
(4)AIの飛躍的な進歩
この順番である。これらが集約されることによって起きる変革は

デジタル技術は突き詰めると、ものごとを数字に置き換えることによって複製を行うことである。たとえば音楽を1秒間に44,100回(44.1kHz)標本化(サンプリング)してCDプレイヤーでこれを復元している。その後のデジタル圧縮技術によって映像も同様である。

インターネットはこうしてデジタル化されたものを、IPパケットという入れ物(ビークル)に乗せて、相互に接続したネットワークを介して、ネットワーク上の別の場所まで届けるものである。これによってこれまではA地点からB地点まで届けるためには2地点間を直接接続するしかなかったが、インターネットという網につながることさえできれば、どこかの経路を通じて届けることができる。そしてデジタル信号は光の速度で伝送できるので距離は関係なくなる。

しかし、これはだけでは完璧ではない。デジタル化しにくいもの、少なくとも現時点では不可能なものが数多くある。モノやヒトや命などはまだデジタル化できない。未来永劫にわたって不可能かどうかはわからないが今は無理だ。無理どころかきっかけ、手がかりすら見えていない。スタートレックのような転送は未だにSFの話だ。

そこで、こうしたデジタル化できないものを動かすためには、やはり何らかの乗り物(これもビークル)に乗せて移動させるしかない。この物の移動、すなわちモビリティが次代の鍵を握る。それの象徴的なものがEVによる自動運転である。これはドライバーレスという点でも十分インパクトがあるが、それは全く本質ではない。目指すビジョンはCES2018で豊田章男社長が自らプレゼンテーションを行ったe-Paletteである。

PRONEWS [CES2018]Vol.02 時代の潮目〜これからはモビリティが最上位概念であることを示したCES2018

 

この概念、ビジョンを現実的なものとするのが飛躍的に進化しているAIである。画像認識、様々なセンシング技術によって膨大なデータを収集できる。このデータをAIで解析することで、たとえばこの車はまもなく故障して急停車することが予測できるようになり、事故を回避することが可能になる。世界で毎年交通事故で亡くなる125万人の命を救えるはずである。

これは前述の(1)から(4)のテクノロジーの進化に基づいた次のフロンティアへの挑戦である。目先のビジネスがどうしたとか、ガソリン車は先がないからEVだとか、人が使うケータイ回線はもう増えないから自動車もネットワークにつなごうとか、全くそういう話ではない。資本金が20億円で何ができるとかいうのも全く見当はずれの指摘だ。

トヨタ・ソフトバンク共同記者会見 (孫さんと豊田さんのプレゼンと対談は50分以降)