ダイナミックOOHとウェブでの広告「最適化」の違い

Digital Signage/Media /

デジタルサイネージを使ったOOH広告のなかでも、リアルタイムな情報を使ってダイナミックにコンテンツを切り替えて最適化を行うダイナミックOOHの事例が出始めている。「リアルタイムでの広告最適化」というと、その点で先行するウェブ広告に近いものをイメージするかもしれないが、ダイナミックOOHとウェブ広告では、ターゲティングにおいて大きな違いがある。

ウェブ広告では、基本的にスマートフォンやパソコンなど個人が利用する端末で表示され、また継続的なデータ収集が可能なことから、行動履歴をもとにして属性情報や趣味嗜好を想定し、それらをターゲットにして広告を配信するパーソナライズが行われている。Googleがあなたの行動履歴から、どのような人物かを推測しているかを確認できる「Googleの広告設定」を見れば、あなたの情報がほぼ正確に推測されていることがわかるだろう。Googleの広告であれば、このような推測をもとに、ターゲティングを行ってくる。それに対してOOH広告は、不特定多数が同じ広告を視聴するため、対象の個人情報を蓄積することも、それに基づいたパーソナライズもできない。その広告と接触する環境から、視聴者たちの状況を想定し、その状況にターゲティングすることになる。

OOH広告でターゲティングを行うにしても、パーソナライズができないためにウェブ広告と比べて粒度が粗く、精度が落ちるように感じられるかもしれない。しかし、ウェブ広告の配信事業者、たとえばGoogleがあなたの属性や趣味を「埼玉県に在住し、都心の企業で働く、ITとボードゲームとカメラに興味のある40代の男性サラリーマン」と推測できたところで、たとえば「通勤中」のような、あなたのリアルな状況にターゲティングしてウェブ広告を見させることはできない。それに対し、OOH広告であれば、広告を視聴するロケーションと時間を固定できるため、とてもシンプルに実現できる。埼玉県から都心に走る列車の車内サイネージでラッシュアワーに広告を放映するだけで、あなたとコミュニケーションが取れる。

さらに、さまざまな情報と組み合わせてリアルタイムにコンテンツを最適化するダイナミックOOHにすることで、「駅出入り口付近で突然の雨に戸惑っている人々」「週末の予定を考えながら帰宅している人々」など、さらに細かい状況に対して広告を出せることになる。また、視聴者の感情も織り込むこともできる。カメラを使って群衆の表情を分析することもできるし、天候やセンサーなどの情報を組み合わせて「小雨が降って蒸し暑い月曜日の混雑した車両内で、清々しい気持ちでいる乗客は少ない」ぐらいの想像をしても許されるだろう。

OOH広告の役割は、単純接触による好意的態度の獲得のほか、購買に近い段階で接触することで購買を喚起させるリーセンシー効果にあるとされる。それであれば、なおのこと「誰に」伝えるかとともに、「いつ」「どのように」も非常に重要である。ダイナミックOOHによるターゲティングは、ウェブ広告のパーソナライズとは異なるメリットを広告主に提供することになる。