IBC2018 Vol.03 映像ビジネスにおけるブロックチェーンについて、驚くほど真剣な議論が行われている事は知っておいたほうがいい

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IBC2018ではブロックチェーンに関するセッションが少なくとも6本は行われた。日本ではブロックチェーン=仮想通貨=怪しいというイメージが強い。これはかつて日本の金子勇氏が開発したP2PソフトウエアWinnyでの不幸な歴史を思い起こさせる。ブロックチェーンは放送はもちろん、ネットフリックスなど動画配信サイトを淘汰する可能性がある。IBCのブロックチェーン関連のこうしたセッションの要点をまとめておこう。

現時点では、ケーブルテレビはもちろん、ネットフリックスやHuluもまだ中央集権的なアグリゲーターである。コンテンツ制作者はこうしたプラットフォーマーとビジネス契約をしなければ、ユーザーにコンテンツを提供することができない。つまり従来型のテレビ局のネットワークと、OTTサービスの本質的な違いはさほどないのである。これに対しブロックチェーンによって分散化された世界では、ライブでもオンデマンドでも、世界中に点在する数千台数万台のコンピューターが、分散型アプリケーション(Dapps, Decentralized Apps)を介することで、階層型ではない配信システムを構築できる。

すでに分散型の動画配信インフラとして既存のブロックチェーンか、全く新たなブロックチェーンを使ったプロジェクトは以下のようにすでに続々と登場している。このあたりについて日本では情報が皆無に近い。

 

新たなコンテンツとして想定されるのは、eスポーツやライブイベントだろう。そしてニュースのようなもので、かつてCGMとかUGMと言われたものに近い。こうしたコンテンツは、これまでのような受信料や月額料金という考え方ではない、デジタル権利証のトークンを使うことで、有料でも無料でも、広告主を介在させることで広告モデルにもできる。このトークンはユーザへのインセンティブにも、コンテンツ制作者への報酬にもなり得る。下の図はIBMの子会社であるALPHANETWORKSのブロックチェーンにおける映像ビジネスの概念図である。

インターネットは新たなコンテンツの流通経路にはなったが、結局は中央集権型の構造に本質的な変化はもたらされていない。ブロックチェーン技術は、こうした閉塞感が高まる一方のインターネットに、P2Pによる真の分散構造におけるコンテンツの流動に大きく貢献すると思われる。この点について日本ではほとんどと言っていいほど議論さえ生まれていない点がひたすら気がかりである。

GASKETでは映像ビジネスにおけるブロックチェーンについて、これからカテゴリーも新設し積極的に取り上げていくことにする。