IBC2018 Vol.04 AIでテレビ局はこう変わる〜TVaaSという考え方

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IBC2018ではAI、ディープラーニング、マシンラーニング関連のセミナーが18本も開催された。それらを要約すると、放送や映像ビジネスにおけるAIについて次のようにまとめることができる。

映像関連のAI技術

以下のAI技術を活用してメタデータ、ビッグデータを生成する。

(1) 画像認識
顔認識
物体認識
(2)音声認識
音声⇔テキスト変換
言語解析
自動翻訳
音声フィルタリング
(3)データ解析
視聴率、視聴履歴
SNS情報
業務フロー

業務での利用

放送局の部門ごとにわかりやすいユースケースを示す。

(1)編成
自動編成
マルチチャネル、マルチデバイス
(2)制作
シナリオ、原稿の自動生成
ビデオ編集、スイッチングの自動化
(3)営業
広告差し替え(視聴実績や属性に基づいた最適化)
編成基軸の枠売りから、コンテンツ基軸の多媒体に対するセールスへ
(4)技術
コンテンツ監視(不適切な表現抽出)
信号監視
(5)視聴者
高度なレコメンド
高度なコンテンツ検索

技術的には、たとえばリアルタイムの吹き替え技術がほぼ確立されつつある。
はじめに吹き替え音声を制作し、続いて吹き替え者の声のタイミングに合わせて、オリジナル動画の口元や身振りをシンクロさせてCG生成するという一連の作業をリアルタイムで実現できるレベルになっている。これまで人間が音声に基づいてCGを製作してきた方法よりも、はるかに少ないコストでコンテンツを制作することが可能となる。

Mobile Viewpointは、End to end AI powered live productionと言うコンセプトで、音声信号(マイクレベルなど)、ビデオ画像、オートキューやスクリプトのような他のソースを分析して、どのカメラを切り替えて制御するのかを識別するAIエンジンを使用して、複数のリモートカメラのスイッチングやカメラワークを自動化するデモを行った。下記はその様子であるが、まだクオリティは低いと言わざるを得ないが、精度を上げることはそんなに難易度が高いとは思えない。

 

また、フランスの通信キャリアであるOrange(旧フランステレコム)の子会社であるViaccess-Orcaは、SaaS(Software as a Service)ならぬ、TVaaS(TV as a Service)を提案している。

Viaaccess-Orcaの資料より

 

TVaaS上では、放送事業者は上の図の赤い部分に専念することができるというもの。

Viaaccess-Orcaの資料より

 

これを実現するためのシステムは、当然ながらクラウドベースのものになる。こういう先進的な考え方に対しては、「放送局たるものはXXXXXでねばならない」という反論が日本ではすぐに聞こえてくる。大事なことは、何のためにAIを利用するのかということである。それは決して単なるコストダウンではなく、人間が行うべきことにリソースを集中するためである。これは放送や映像業界に限ったことではなく、ごくごく当たり前のことである。放送事業者とコンテンツ所有者は、消費者のオンラインコンテンツに対する消費者の要求を満たすためには、コンテンツを制作し提供する新しい方法に適応する必要があるということで、それには想像以上にAIが使えるのである。

日本では、特に現場からの抵抗は相当なものがあるだろうが、マネージメント層がビジョンを持って仕切るべきことであると考える。