欧州の街中の雑貨屋で気づいたIoTとAIの出番

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欧州の街中を歩いていると、いわゆる「雑貨屋」が多いことに気がつく。原宿・竹下通りにあるような小規模店舗ではなく、チェーン展開している大手のショップだ。日本でもデンマーク生まれの「フライングタイガー」が全国展開を始めているが、ああいった雑貨店である。この写真はオランダを中心に展開している「HEMA」だ。これがIoTとAIの出番であることを想起させてくれるのだ。

ところが、店の中に一歩足を踏み入れてみると、店内の様子は想像と少し異なっていることが多かった。雑貨店だと思っていたら、確かに1階(路面)は雑貨なのだが、地下にはアパレル、2階にはカフェテリア、といった構成なのだ。

逆もまたしかりで、アパレルショップだと思って入ったら、むしろここは雑貨店なのではないかというくらい、いろいろなものが雑多に並ぶ店を、あちこちで見かけた。これもまた同様に、小さな店舗ではなく、チェーン展開している大手である。

産業論的には、いろいろな理屈が思いつく。たとえば中国発のデフレ文化、すなわち「ちょっといいものが激安で買える」という状況が世界を覆い尽くしており、もはや単一カテゴリー専業では差別化が困難になっている。あるいは雑貨であれアパレルであれ、ライフスタイル提案を実践するには、モックアップではなく実際にモノやサービスを体験してもらわないと伝わらない……こんなところだろうか。

こうなってくると、店舗内を正しくセンシングすることは、戦略というより戦術、すなわち日常業務のレベルで、もはや不可欠になってくるように思える。なぜなら、複雑化する店舗を回遊する顧客を理解するためには、その顧客がどこで何をして、何に心地良さ(または悪さ)を感じているのかを、つぶさに理解しなければならないからだ。

おそらくそうした理解がなければ、商品の調達はもちろん、陳列や動線といった店舗内の構成さえも、ままならないだろう。そしてそうした取り組みが実験ではなくすでに実店舗で普通に展開しているとなると、IoTとAIの出番は、間近ではなくもうすでに到来していると言える。さらにいえば、出番は来ているのに登場が遅くて、イライラされているかもしれない。

ただしこうした顧客理解のためのテクノロジーは、プライバシーとセキュリティの問題と、表裏一体でもある。それに関する筆者の現時点での暫定的な結論は、「機微性や特定性の高いパーソナルデータは必ずしも必要ではなく、予め丁寧に取り組めば恐るるに足らず」である。紙幅の都合もあり、また改めて論じたい。