アリペイHKの「星爍無人店」のニュースを読んで考えたこと

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Amazon Goが登場して以来、無人店舗の動きが加速している。日本ではAmazonの報道が多いため、アリババ、テンセントの動きを見落としがちだが、中国の無人店舗が勢いづいている。テンセントのコンビニ「繽果盒子」(BingoBox)やアリババの生鮮スーパー「盒馬鮮生」(Hema Fresh)が人気になり、両グループが今後この分野のリーダーになりそうだ。

日経新聞によると中国の「無人」サービスの市場規模は、4年後に16兆円を超える規模になると予想されている。ネット通販大手の京東集団や蘇寧雲商集団といった小売大手も参入し、コンビニや衣料品店などの小売店が大都市で続々と無人店を開業している。テンセント、アリババがECとリアルの融合を行い、ノウハウを溜め込み見ながら、顧客の利便性を高めている。中国の調査会社(中商産業研究院)によると、中国の無人店市場は小売店だけでも2022年に9500億元となり、2018年の30倍に成長する見通しを立てている。今後は無人店舗の競争が激化し、価値を付加した企業が生き残るはずだ。

そんな中、香港で新たな動きが始まった。アリババ集団のアント・フィナンシャルと長江和記実業の合弁会社アリペイHKが、「星爍無人店」という雑貨・ファッション店を10月1日にオープンすると発表した。無人店は奧運(オリンピック)駅に直結した奥海城にオープン予定で、広さも4,000平方フィートという巨大店舗になるという。店舗の入り口にはスクリーンが設置され、そのスクリーンに人が微笑むとQRコードが表示される。スマホでそのQRコードを読み取るとドアが開き、入店可能になる。すべての商品に電子タグがついているので、顧客は気に入った商品を選び、スマホで支払うだけでよい。確かに、洋服や雑貨を選ぶ時には店員が邪魔になることもある。店員からアドバイスされるのが嫌な客にとっては、この「星爍無人店」での買い物は気軽でよいかもしれない。

人件費の高騰、採用難を考えると、今後はゼロ・レジスタッフ、ゼロ店員の店が当たり前になり、無人店舗の動きは止められないだろう。店舗ごとの競争が激化していくなかで、無人店舗もマーケティング勝負になり、無人店舗もどんどん進化していく。オンラインや無人店舗の売り上げ・顧客の嗜好などのデータ分析が行われ、チェーンや店舗によって特徴・品揃えが変わるはずだ。個性的な無人店舗が増え、カフェやファッション店舗併設型など様々な無人店舗がオープンし、顧客が好きな店舗を選ぶようになる。体力や独自性のない店舗は淘汰され、Amazonやテンセント、アリババなどの巨大IT企業がますます強くなっていくのだろう。

しかし、ここで諦めるのでは脳がない。顧客は気分や状況に応じて、有人・無人を使い分けるから、そこにチャンスを見出すべきだ。既存の有人店舗も工夫をこらし、顧客を喜ばすことを考えれば、生き残りの可能性は高まる。当然、価格では無人店舗に勝てないので、店舗ごとにオルジナリティを打ち出す必要がある。顧客を感動させる応対や人を和ませるなどの無人店にはできない店づくりが、経営者や従業員の重要な仕事になるはずだ。

年末は香港に行く予定があるので、「星爍無人店」を試してみようと思う。どのような買い物体験が得られるかをレポートし、どうすれば日本企業が巨大資本に勝てるのかを考えてみたい。

photo credit: ChrisYunker Tencent Offices via photopin (license)