レジなし店舗のAmazon GoとTRIALは全く異なる購買体験を提供している

AI/Digital Signage/IoT /

シアトルにあるAmazonGOに行ったのは今年2018年3月のことだ。そこで実現されていること、レジなしで買い物ができるという話は予め情報として聞いていたし、実現のための細かいノウハウは山ほどあることは想像に難くなかった。しかし、こうした買い物というコトは、オンラインショッピングでもそうだが、リアルな店舗における「体験」が何よりも重要であることを直感的に感じるので、理屈はいいからとにかく行く必要があったのだ。

そしてそれはやはり正解だった。現場に行かないと絶対にわからない。

Amazon Goの詳細は、BUSINESS INSIDERの鈴木淳也氏の記事で詳しく紹介されているので、まずはそちらをご覧いただきたい。読み終わったら、再びここに戻ってきていただければ幸いである。

では鈴木氏の記事をお読みいただいた前提で話を進めよう。技術的なこと記事にある通りだ。ただ、もっともっと重要なことがある。Amazon Goが顧客に提供しているのはテクノロジーではない。Amazon Goは「新しい購買体験」を我々に示しているのである。それは、お店でお金を払うという「行為」は決して当たり前ではないということだ。支払いという行為は、その決済方法が現金だろうが、クレジットカードであろうが、電子マネーであろうが、モバイル決済であろうが、商品やサービスに対しての対価としてお金を払うのは当然である。なのだが、レジに並ぶ、財布から現金を出す、クレジットカードのオーソリをかけるという行為はすべて手間と時間を必要とする。たかが数分数秒のことだが、それを強いるのはよく考えてみればおかしな話だ。お客様が何を買ったかは、本来は店側が把握しているべきであり、顧客の数十秒を拘束しなくてもいいはずなのだ。

Amazon Goで買い物をして、そのまま何もせずにゲートを出るあの感覚。そうなのだ、あの感覚が重要なのだ。当たり前だと思いこんでいたことが全く当たり前ではなくなる世界がもうそこまで来ているということが圧倒的に重要なのである。

そして福岡アイランドシティのTRIALにも行ってきた。トライアル アイランドシティ店の詳細については、こちらのレジチョイスに4回にわたる詳細なレポートがあるのでそちらを参照されたい。

行ってみてわかったことは、TRIALが提供しているのは「体験」ではないのである。それは(少なくとも現時点では)顧客のメリットや利便性ではなく、店側の都合、合理化なのである。わかりやすく言うと、この事例はセルフレジがカートに付いているということなのである。セルフレジというのは、パートタイマーが雇用できない店側の都合でしか無い。前述したように、お客様が何を買ったかを把握するべきなのは明らかに店の側であって、お客様に自己申告させる手間を強いるのはどう考えてもおかしな話なのだ。

これも先進的と感じる向きもあるだろうし、煩わしい店員とのコミュニケーションがなくて済むし、従来のセルフレジよりは読み取りという行為が分散されるので、感覚的にはスマートに思えなくもないだろう。しかしながら、TRIALの事例はAmazon Goが示す購買体験とは似て非なるものなのである。決して優劣を行っているのではなく別物ということである。

本当は上海に複数ある無人コンビニも体験したいのだが、上海行きの航空券がびっくりするほど高値になっていて、躊躇したままの状態である。もちろん年内には必ず体験してくるので、改めてここGASKETでご紹介したいと思う。