勝者なき放送・映像配信を最上流で包含するPonPサービスがあってもいい

AI/Media /

放送や、インターネットによる映像配信は混迷を極めている。これは日本に限ったことではないが、特に日本はその傾向が非常に強い。地上波テレビの圧倒的強さの中で、地上波はたいして困ることはなく、専門多チャンネルが地上波独占に対するガス抜き的に認可されて、それなりのビジネスに拡大した。かつてのニューメディア時代の挑戦者だったはずの専門多チャンネルやケーブルテレビは、30年を経過してもはや変革を望むことなく、完全に守りに入っている。

混迷の理由は単純なこと

これまでの家庭向けの映像ビジネス、つまり放送は、コンテンツと伝送路と表示装置の3つが、それぞれ三位一体でして進化をしてきた。

伝送路は地上波、ケーブルや衛星など多様化したあとにインターネットが高速化し、有線から無線へと広がった。表示装置はSD、HD、4K、8Kのように高画質化や高解像度化し、画面の大画面化や小型でパーソナルなスマートフォンの登場が登場した。コンテンツもこれらの流れに対応して、限定的な数による総合編成チャンネルから、専門多チャンネルが加わった。双方向性のあるインターネットによって、編成によらないオンデマンド配信や動画サイトが出現した。

 

インターネットの登場以降は、コンテンツと伝送路と表示装置はそれぞれが連動すること無く、いい意味で自由に変化している。これが進化かどうかはよくわかからないし、好むと好まざるとにかかわらず事実であることは間違いない。

このような環境下にあって、放送に関しては、4Kや8K、インターネット配信に対してのわが国の政策はきわめて場当たり的で、近視眼的でしか無い。そこにNetflixやHuluなどが中途半端なマーケットを築きつつある。スマートフォンやSNSが加わって、人々のアイボールと可処分時間と可処分所得を無駄に奪い合っている。

混迷の状況から抜け出せる糸口は全く見える気配すらなく、誰も勝者が出ないまま当面は推移するだろう。視聴者、ユーザー側からすると、あまりにも整理されていないこの状況は決して好ましいことではない。

プラットフォーム on プラットフォームサービス

JustWatchというベルリン発のサービスがある。「動画配信 映画 TV番組 検索エンジン」ということになっている。この言い方には少なくとも現状のJustWatchを見る限り、若干の疑問符がつくのだが、細かいことはさておき、このサービスの方向性は注目に値する。JustWatchは現在32カ国でサービス展開している。データはTHR MOVIE DB(TMDb)というプラットフォームから取得している。TMDbはFanhattan,Incが運営しており、この会社にはRovi(Tivo)が出資している点も忘れてはならない。

日本のサイトではNetflix、hulu、dTV、U-NEXT、GYAO、Amazon Prime Instant Video、Amazon Video、Apple iTunes、Microsoft Store、Google Play Movies、 Mubiの12プラットフォームで配信されているコンテンツを横断検索することができる。サービスはPCだけではなくスマートフォンからも利用できる。同じコンテンツが複数のプラットフォームで視聴できる場合には、価格コムのような比較検討することもできる。日本のプラットフォーマーやコンテンツホルダーは、JustWatchとは何のコンタクトも契約関係にもないようだ。なお現時点では、リニアな放送プラットフォームは対象とされていないが、すること自体は技術的には何の造作も無いことだ。

もっとも特筆するべきことは、ユーザーがこれらの配信プラットフォームと契約していれば、検索結果からそのままダイレクトに視聴をすることができる。つまり、これは高機能な次世代のリモコンになり得るのである。また未契約のプラットフォームに対しては、契約のための導線を提供すればいいし、それはアフィリエイト化できるはずだ。

これをしっかりとベンチマークして、新たなPonPサービスを作れないだろうか。コンテンツホルダーまたは各配信事業者などから、「勝手メタ」ではない「公式メタ」正規に取得し、検索機能やレコメンド機能がAIを活用して提供され、Webアプリ化してスマートフォンや高機能テレビからアクセスできれば、混迷したプラットフォーム競争に終止符を打てる。

ある程度この領域の経験がある方ならおわかりになると思うが、2003年にソニーが発売したエアタクトと、あのクラウドDVRサービスAEREO(2015年にTivoが買収した)をスマートフォンで上で実現してしまえばいいという話である。放送局の基幹システムとも言える営放システム(営業放送システム)を配信サービスにも対応できるように拡張し、公式メタデータも同時に配信できて、ユーザー向けのリモコンアプリまでトータルで設計・運用すればいい。

さあ、こうした映像領域でのPonP。誰がいつ仕掛けてくるのだろう。