モバイルバッテリーのシェアリングサービス「CHARGE SPOT」の設置無料なデジタルサイネージ

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CHARGE SPOTというデジタルサイネージサービスをご存知だろうか。Inforichが運営するモバイルバッテリーシェアリングサービスである。2018年4月から始まったこのサービスは、デジタルサイネージのついた筐体の中にモバイルバッテリーが入っており、登録者は1時間100円、その後48時間までプラス100円でスマートフォン用モバイルバッテリーをレンタルすることができる。利用時に端末保証代金として1,500円を預けるため、紛失や盗難の際はこの保証金が充てられる。もしも返さなかった場合はそのまま1,500円で購入ということになる。

日本では東京・大阪・沖縄に設置の事例があり、現在では香港を中心に5カ国8都市、300箇所以上の設置がある。サービスアプリで確認すると、東京都では池袋や新宿渋谷などを中心に、20箇所以上設置されている。また、先ほどの1,500円の預かり金は、アプリ上でいつでも返金が可能である。

 

 

 

バッテリーレンタル&無料デジタルサイネージ

このサービスの面白いところのひとつは、デジタルサイネージの設置代が無料であることだ。ロケーションオーナーはこの筐体のデジタルサイネージを自由に利用することができるため、例えばビルのテナントの宣伝や災害情報の放映などが可能だ。特に災害時はスマートフォンのバッテリーは生命線なので、災害情報の放映とモバイルバッテリーの貸出という組み合わせは、台数が限られているとはいえど中々面白い。ただ、その為には適切な災害情報の放映・地域情報の連動など、確かな情報を確実に伝えるシステムをきちんと検討する必要がある。そこまでをパッケージ化できると、導入するロケーションオーナーも爆発的に増えてくるのではないだろうか。

また、ロケーションオーナーがデジタルサイネージを導入する際によくある要望が「他から広告料を取って運営の足しにしたい」というものだ。確かに広告料をとってうまくいっているケースもあるが、その場所にどれだけのメディア的な価値があるのか、またどれだけの効果があるのかという所を突き詰めて考えていくと、駅や交通機関などの大きなロケーション以外で恒常的に広告を出稿してもらうというのはやや現実味が薄い。

ロケーションメディアとしての媒体価値

そこに注目しつつ、CHARGE SPOTにみるロケーション広告について思考を巡らせてみよう。CHARGE SPOTの利点は2つあると考える。一つはモバイルバッテリーからスマートフォンへの充電に時間がかかるため、その間の時間を潰す可能性があること、もう一つはCHARGE SPOT設置場所の検索時に宣伝ができることだ。

東京都内などで社会実証実験が行われている、赤いレンタサイクルである東京・自転車シェアリングと同様に、CHARGE SPOTであればどこにでも返却可能ではある。スマートフォンをフル充電させる必要がないのであれば、その場で1時間ほど充電をしてさっさと返却をしてしまいたくなるのではないだろうか。もし移動先に返却できる筐体がない、あるいはすぐ見つからずに手こずってしまうという可能性を考えると、時間があるのであればここで時間を潰すのが得策と考える人も多いはずだ。つまり、その場所付近に1時間ほど留まる事がほぼ確定する。こういう事例もなかなか珍しい。

この筐体のデジタルサイネージに、付近のカフェの空き状況や施設の案内などが表示されていれば、そこに行く理由ができてテナントの利用率も上がるだろう。広告としてそこに出稿するというケースもあるのではないか。

専用アプリによるロケーションビジネス

CHARGE SPOTはスマートフォンでスポットの検索ができる。その際に、設置場所の近隣の広告が表示される。例えばバーやカフェ、本屋などだ。デジタルサイネージだけではなく、こうした検索の際に広告が出せるので、それならばここで暇を潰そうとテナントに寄らせることが可能だ。スマートフォンも立派な広告媒体になり得る。サイネージとセットでの広告費と考えれば、金額設定次第ではうまく回収できるだろう。

この筐体の弱点としては、モバイルバッテリーの保管と貸出(排出)において雨は禁物なので屋外に設置ができないことだろう。また、デジタルサイネージの表示ロール360秒の内の120秒をロケーショオーナーが利用可能ということだから、そのあたりの計算も必要になってくるし、結局コンテンツを誰が管理するのか、制作するのか…というところまでしっかり設計する必要がある。

とは言え、「時間がかかる充電」を「そこに留まらせるための時間」と転換する考え方は面白い。どんな広告が出ていたら思わず借りたくなってしまうか、考えてみるのも一興である。

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