ダイナミックデジタルサイネージに移行する必然

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デジタルサイネージは、初期はスタンドアローンで広告や販促映像を流すだけだった。その後、それまでPCやスマートフォンの画面の中だけに閉じ込められていたインターネットにある情報を、街の中に設置されたディスプレイで可視化をすることで、生活動線上におけるパソコン、スマートフォン、デジタルサイネージといった連続的なコミュニケーションを実現してきた。

この時点のデジタルサイネージでは、表示されるコンテンツはCMS(Content Management System)によって、あらかじめメディアオーナーの意思で指定されているものだ。一方、フロアマップのようなタッチパネルによるインタラクティブ性は、ユーザー側の意思に基づく情報の取捨選択である。これら2つを比較すると、片方向か双方向かという点と、もう一つはコミュニケーションのきっかけがユーザー側にあるのか、そうではないのかという違いがある。

注意する必要があるのは、必ずしもデジタルサイネージは片方向より双方向が優れている、という話ではない。双方向のほうがコミュニケーションが深くなり、得られる情報もユーザーの意思にマッチしたものになるのは当然だ。しかし、トリガーがユーザーの意志であるということは、興味関心のないものとは出会うことがない。同様に、パソコンやスマートホンをデバイスとするネット広告でのコミュニケーションでは、興味感心のないものはスルーされることが多くなるか、そもそもリーチしない。

つまり、これほどスマートフォンが普及すればするほど、デジタルサイネージの元々関心がない「出会い頭のメディア」であることが重要になっている。たとえば音楽は、自分の意志で好きなアーチストやジャンルを無制限に聴き続けられるようになったが、そのままでは知らないアーチストや楽曲には出会いにくい。そこで知らない楽曲に出会うことができる確率が高いラジオが、いま復活傾向にある。

デジタルサイネージは、こうした出会い頭のメディアである特徴を活かしつつ、その時その場にいる人に最適化されたコミュニケーションを行うことはできないものか。この課題をIoTやAIでかんたんに解決できるようになってきた。その場にあるカメラやセンサーによってローカルセンシングされた情報を表示したり、取得した情報をAIで解析することで、その時その瞬間に最適化されたコンテンツを動的(ダイナミック)に表示するダイナミックなメディアへと進化をしていくだろう。これがダイナミックデジタルサイネージである。

これはテクノロジーの進化による必然であり、同時にデジタルサイネージビジネスの拡大のための必然であり、利用者生活者の利便性の向上のための必然である。デジタルサイネージは街に飛び出すインターネットから、あらゆるセンシング情報を可視化するスクリーンへ拡大していく。

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