デジタルサイネージに起こる問題とその解決策(前編)

デジタルサイネージに起こる問題とその解決策(商業施設)

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現在デジタルサイネージはさまざまな場所で使用され、目にする機会も多い。コンテンツを簡単に入れ替えられる、動きのある新たな表現で人目を引くことができるなど、従来の看板やポスターにはない多くの利点や効果がある。ただ、実際に導入しても、十分に活用されないケースも多々ある。今回は商業施設におけるデジタルサイネージの運用が行き詰まってしまう原因と、それに対するアプローチについて考えてみる。

商業施設におけるデジタルサイネージの意義

商業施設のデジタルサイネージは、映像を通じた来店者とのコミュニケーション手段として位置づけられる。来店者に適切な情報を提供したり、心地よい空間を演出したりすることで、商業施設の価値を上げていくことがおもな目的となる。

活用例としては、施設内で開催するイベントの告知や商品情報などの表示がある。ポスターに比べて情報量も多く、よりわかりやすい情報を伝えられる。また、季節を感じさせる風景やイベントに合わせた内容の画像・動画などを表示して、店内の雰囲気を盛り上げることも可能だ。店内装飾による演出に比べて、手間もかからず費用も抑えられる。

商業施設のデジタルサイネージの問題点
「計画部門」と「運用部門」の距離

ただ、残念なことに商業施設におけるデジタルサイネージは、明確な目的や運用イメージがなく導入されているケースが少なくない。その原因のひとつが、施設にデジタルサイネージの導入を計画する設計部門と、実際に売り場でサイネージを運用する部門が異なる点が挙げられる。

設計段階でデジタルサイネージの配置や台数が決定するが、その時点では運用の具体的なイメージがないことが多いのが現状だろう。施設の建築とともにデジタルサイネージが設置されていくが、運用する店舗側としてはノウハウがなく、どのように活用するかについて頭を悩ませている場合が多く、施設によってはオープン時から同じコンテンツがずっと流れていることもある。

交通施設におけるデジタルサイネージとの比較

商業施設に限らず、デジタルサイネージにおいては、どのようなコンテンツを表示するかが重要である。例えば、駅構内に設置されている「J・ADビジョン」は目的が明確だ。広告として看板やポスターだったものをデジタル化したもので広告媒体として活用されている。

しかし、商業施設のサイネージは、その目的がさほど明確ではないことが多い。広告媒体としての役割を求められることもあるが、実際には活用は難しい。不特定多数の多くの人が利用する交通施設と、商圏内の人が買い物を目的として集まる商業施設では、利用者数に大きな差があるうえ、設置場所や台数の制限があるために接触時間の確保が難しいからだ。また、消費の現場に近すぎることが問題になることもある。たとえば、テナント店舗で売り切れになっている商品の広告を放映し続ければ、店舗からのクレームになりかねない。交通広告と同程度の媒体価値や広告売上を期待されても、それに応えられることはまずない。実際には、販売促進媒体としての運用が求められる。

小さな予算と大きな負担

販促としての情報発信は、キャンペーン情報、イベント情報などが考えられる。例えば、全国に多店舗展開しているショッピングモールが、全店舗共通で配信するフェア告知の販促動画を作ったとする。全店舗で全て共通の情報であれば問題がないが、「〇〇フェア開催中! ただし××店は除く」となると、その時点で共通配信ができなくなる。また、「冬物ブーツ セール開催中! 30%OFF!」などの告知を行う場合、各店舗の在庫状況を考慮しなければならない。在庫のない店舗でそのような表示を行うわけにはいかないからだ。

このように考えていくと、商業施設のデジタルサイネージでは、販促の要素を取り入れた情報を発信する必要があり、それには商業施設ごとにコンテンツの制作や更新を行わなければならない。

しかし、毎週のように行われるイベントやセールのたびに、その都度デジタルサイネージ向けのコンテンツを制作するにはそれなりの費用が必要となる。しかし、広告に比べて販促にはあまり大きな予算がかけられないのが実情である。費用削減のため、チラシやポスターのデジタルサイネージに表示する方法もあるが、横長のデジタルサイネージなのにチラシのデータが縦長だったり、吊り型のデジタルサイネージでは文字が小さすぎて読めなかったりと、機材に適合しないケースが多々ある。

担当者の手間を軽く、費用も抑える解決策

その解決策として、デジタルサイネージの運用上で問題となるコンテンツの更新を、低コストかつ高頻度で実現できるサービスの導入がある。たとえば、ハイクオリティ動画制作ツール「cremo (クリモ)」は、直感的な操作で、デジタルサイネージ向けのフルHDの動画を縦型横型どちらでも制作できる。ウェブアプリケーションのため、インターネットに接続できるパソコンさえあれば、どこからでも動画を制作できる。これをダウンロードしてシステムに設定するだけで完了するため、作業者の負担も少ない。また、既存のWebから写真やテキストを自動抽出して動画生成し、そのまま配信するシステムにカスタマイズすることもできるため、サイネージに関する作業をすべて自動化することもできる。同システムは、千葉県柏市の商業施設「セブンパーク アリオ柏」など、多くの導入実績がある。